【完】君しかいらない
「愛梨ちゃん、危ないからこっち…」


夕方のラッシュに遭遇したせいで、電車の中はかなり混みあってる。


電車の扉のところで、奏太くんはあたしひとりが入れるスペースを確保してくれた。


「…ありがと」


狭い空間の中で、奏太くんと向かい合わせになってる…んだけど、


この状況って…なんだかなあ…。


奏太くんの胸が目の前に迫ってて、顔との距離が近すぎて顔があげれない。


電車が大きく揺れる度に、コツンと頭が奏太くんの胸にぶつかる。





「…あっ、ゴメン」


「全然いーよ」



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