甘恋集め
「私……私……いっぱい触られた。竜以外の男の人に……嫌だって言ったのに、

逃げようとしたのに、殴ってきて押さえつけて……。

気持ち悪かった……。叫んだのに誰も来てくれなくて、怖くて、怖くて」


思い出した。私の肩の傷の意味。

父さんと母さんが教えてくれなかった傷痕は、あの夜にできたんだ。

階段の脇に積んでいた荷物の中にあった木箱の角でざくっと切ってしまった。

玄関で意識を失う時にも、肩がじんじん燃えるように痛かった。

その痛みですら、私は忘れていたの?


「梅、ごめん、俺が側にいてやれなくて。怖い目にあわせてごめん」


私を抱き寄せて、泣きながら竜が何度も謝る。

流れ落ちる涙が私の肩に落ちてくる。


「俺、梅に戻ってきて欲しかった……でも、つらい記憶を、梅がどう受け止める

のか不安で、思い出して欲しいのかどうか、わからなかった」



低く吐き出すような竜の重い声が、病室に響いて。

その場にいるみんなが、つらそうに私を見つめた。
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