甘恋集め
「そっか。だから、あの屋根見ると落ち着いて嬉しくなってたんだね」
何故か惹かれるあの屋根に、恋していた。
あんな綺麗な緑を私も出してみたいと、何度もキャンバスにも向かったけれど、思うようには作れなくて行き詰っていた。
「竜の愛情が込められてたんだもん、簡単に真似するなんてできなかったよね」
ふふふ、と笑いながら。
少しずつはっきりとしてくる記憶に立ち向かうように大きく息を吐いた。
そして。
「父さん、母さん、そして楓、あの家に引っ越そう。新しい家に。
私が引っ越しをする記憶をなくしてたから、待ってくれてたんでしょ?」
心配そうに私を見つめている3人に視線を向けた。
父さんも母さんも、はっとして、何かを言いたそうにしていたけれど、ただ目に涙を浮かべたままで言葉にならない。
「私は、大丈夫。竜が側にいてくれたら、なんでも来い、だから」
そう、竜がいれば、大丈夫。