甘恋集め
車を駐車場に入れて、いつもは駆け上がる坂道を二人で手を繋いでゆっくりと歩いた。
普段は流れていくだけの景色がゆっくりと私たちの横を過ぎて行く。
時々視線を合わせながら、ゆっくりゆっくりと、地面を踏みしめるこの時間がとても愛しい。
「私、泣きながらここを駆け上がってたんだよ」
ふと思い出した。
初めて竜と会った日のこと。
どうしてあんな大切な日の事まで忘れてたんだろう。
ずっと記憶にとどめておきたい記念すべき日なのに。
この4年間、忘れていた私の残酷さを思うと竜に申し訳なくて仕方がない。
「俺は、笑いを抑えられないまま追いかけてたな」
くすくすと笑い声が聞こえる。
「母さんに連れられて初めて梅の家に打ち合わせに行った途端に、お前に一目ぼれして。
でもそれが悔しくて気のない振りしてたらさ、チラチラと俺を見て、顔真っ赤にして、で、そのうち俺の無関心さにしびれをきらして家を飛び出して。
本当、『手に入った』って実感するには十分過ぎるくらいにわかりやすかったもんな」