甘恋集め
そうだった。

私に全く興味なんてない振りをして、家の打ち合わせに没頭している様子しか見せてくれなかった竜。

その本心は、私に一目ぼれした感情をどう受け止めていいのかわからなくて気のない振りをしていたと、聞かされた。

女の子から言い寄られる事はあっても、自分から好きになった事はそれまでなかった竜には、そんな自分の気持ちが悔しかったらしい。

「あの日、私を追いかけてきてくれた時、竜はすっごく笑ってたよね」

「だな。全力で走りながら笑ってるなんて、自分でも変な男だなって思いながらも走ってた。初めて会った女の子だけど、絶対に手に入れるって決めて走ってた」

あの日全力で私に追いついた竜は、そのまま私を抱きしめて大笑いした。

涙を流していた私の顔を見ると、その笑いは更に大きくなって、それはとても幸せそうに見えたっけ。

「お互い、一目ぼれして、その事に二人ともすぐに気付いたね。
……なんてバカップルなんだろ」

ふふふっと笑って。

あの日、お互いの気持ちを寄せあった場所に着いた。

ひっそりとその場で私たちを待ってくれていたベンチが視界に入ってきて、二人の歩みも次第に速くなった。



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