甘恋集め
でも、コンビニを出た途端、体を前に曲げて笑い出した。

「あー、緊張した。一人で買うより100倍緊張した」

「……緊張してるようには見えなかったけど」

「緊張っていうか、居心地悪かった。……でも、ちょっと面白かったな」

「面白かったって……」

「あー、結花が俺のものになって、舞い上がってるかも。何しても結花と一緒なら面白いし、楽しい」

大きく笑うと、当たり前のように私の肩を抱いて、マンションへと向かう。

肩に置かれた利也さんの手は重くて、私を手離さないと込められた気持ちを感じる。それがたまらなく嬉しい。

歩きながら、そっと顔を肩に寄せると。

「部屋に帰ったら、いっぱいキスしような」

「……」

とんでもなく甘い人を、手に入れたのかもしれない。

私をとろけさせる術に長けた、愛する人を。

ようやく手に入れた。



-FIN-

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