甘恋集め
「でも、結花だって俺の事好きだろ?だから、これは必要なんだよ。」

カゴに入っている物に視線を落として。

二人してしばらく無言のまま。

「で?このカゴって俺が持ってく?結花が持ってく?」

「え?そりゃ、利也さんが、持って行って下さい。私、こんなの持ってレジに行けません」

からかうような利也さんに、慌ててそう言って、二、三歩後ずさった。
カゴの中身を考えたら、恥ずかしくてレジになんて行けない。

「んー。俺も、女の子のインナーとか入ってるカゴ持ってレジ行くのって抵抗あるけどな。じゃ、一緒に行こう」

言うが早いか、利也さんは私の手を握って、レジへと向かった。

「と、利也さん、嫌だ、嫌です、恥ずかしい」

「一緒に使うんだし、いいだろ」

面白がってるその声に連れられて、結局二人並んで清算した。

レジのバイトくんが意味ありげに私達を見た事は、気のせいだと思……えるわけない。

「ありがとうございましたー」

その声に、裏の意味が込められているようで恥ずかくて、私は俯いたまま。

ずっと私の手を握ったままの利也さんは、全く動じる事もないようで、やっぱり慣れてるんだろうな。

何だか本当、かなわない。


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