コイン★悪い男の純情
 「あら、何かあったの」
 「いいえ、別に」

 かんなは、介護の仕事をてきぱきと片付けると、さっさと帰り支度をして、急いで玄関へ。

 「今日の綾瀬さん、何か変よね。愛想がなくって、少し機嫌が悪いみたいよ。あなた達、喧嘩でもしたの」

 「別に」

 純一も智子と同感だったので、かんなを追って玄関へ。

 
 かんなは、淳也を玄関で待っていた。

 「吉見さん、少し話があるのでけど」
 「吉見さんですか・・・ええ、いいですよ」

 「仕事が終わった5時半頃、新林池公園に来られる」

 「ええ、行きます。かんなさん、何か怒っているのですか」

 「自分の胸に手を当てて聞いてみたら。じゃ、池公園の玄関で5時半ね」


 (自分の胸に手をあてて聞けか。いったいかんなさんは、何を怒っているのだろうか)


 首を傾げながら、淳也はかんなを見送っていた。




 


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