コイン★悪い男の純情
 かんなはひとしきり泣くと、前崎を鬼のような顔つきで睨み付けた。


 「なんであんたがここにいてるの。どう言う事か,教えて、うううっ・・・」


 かんなが、前崎に事情を聞きただした。


 「わかった。俺が勇太にサッカーボールを渡したんや。そしたら、そのボールが勇太の胸に当たって車道に転がったんや。それを勇太が追っかけて行って、車に撥ねられたんや」


 「なんであんたが、ボールを勇太に渡す必要があるんや」
 「それは、勇太と仲直りしようと思ったからや」



 「嘘や!!何か、魂胆があったんやろ」
 「魂胆なんかあれへん」



 「正直に言うて」


 「ほんまは、勇太を俺が引き取ろうと思ったんや。それで、勇太と仲直りがしたかったんや」

 「何であんたが今頃になって、勇太を引き取る必要があるんや」



 「勇太を引き取ったら、またお前とよりが戻せる思ったんや」




 「あんな事しといて、まだそんな事言ってるの、あんたが勇太を殺したんや」




 かんなが、前崎を憎しみの目で見詰めた。











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