コイン★悪い男の純情
31話 逃亡
 勇太が死んでから1年後 (実際はその1日前)

 

 淳也は九州にいた。

 あの事件以来、新聞を気にかけて読んでいたが、前崎をひき逃げした犯人に関する記事は掲載されていなかった。


 「今日も新聞には載っていなかった」


 額の汗を拭きながら、淳也が小さく呟いた。


 「でも、油断は禁物だ」


 スコップで土をすくい上げると、淳也は大きく放り上げた。

 淳也は、大牟田市で道路工事の土木作業員として働いていた。


 その日、仕事が終わると、淳也は西鉄新栄町駅前にあるデパート小筒屋に買い物に出掛けた。そして、おもちゃ売り場で恐竜のフイギュアを買った。



 
< 155 / 162 >

この作品をシェア

pagetop