コイン★悪い男の純情
 「うっ、うっ、うっ~・・・」

 「淳也。一生 の お ね が い や」

 「俺が帰って来た言うのに、それはないやろ。ううっ、うううっ~」

 「もう、みんな に 迷惑 かけ とう ないん や」

 「親子やろ。迷惑かけたらいいんだ」
 「なあ、頼む わ」

 「迷惑かけたら・・・迷惑かけたら・・・う、うん、
 「ううっんんん」


 「後生 だ から 、首 を 絞 め て・・・」


 「お袋!! ううううっ、ううううううっ~・・・」

 淳也は涙をぼろぼろ零しながら、たえを思わず抱き締めた。

 たえの体は想像以上に痩せていた。

 「お袋・・・」
 淳也はたえが愛しかった。狂いたいほど、愛しかった。たえを抱き締める手に知らず知らず力が入った。


 「淳也。く る し い・・・」

 「助けて~」

 淳也はたえの叫び声で我に返った。

 「悪い」

 淳也は感情が込み上げてきて、たえを抱き締めるのに、力が入り過ぎた。

 思わず、淳也は全身から力を抜いた。

 

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