コイン★悪い男の純情
 (この人は信頼できる人だ)

 芳恵は、そう確信した。

 「真美恵さんのためにも、早く二人の仲をはっきりさせないといけませんね」

 「そうですわね」
 「したくても、今の僕にはそれが出来ないのが残念です」

 「どうして出来ないのですか」
 「それは・・・」

 「どうしてですか」

 「それを片付けてから、あなたとの仲をはっきりさせようと思っていたので・・・」
 「言って下さい」

 「実は・・・実は、友達の借金の連帯保証人になっていまして。友達は事業が失敗すると、失踪してしまったのです。それで、借金は僕が・・・」

 「幾らあるのですか」

 「500万円の内、300万円は返して、後200万円残っているのです。サラ金なので早く返さないと・・・」

 純一は最初、報酬は芳恵の年収1000万の半分を考えていた。
 シナリオ変更で200万に削減したのだ。

 「なあんだ。200万円か。それ位なら私の小遣いの範囲内で何とでもなりますわ」

 「とんでもない。あなたにはお借り出来ませんよ」
 「心配なさらないで。それ位なら私がご用立てしますわ」

 「それはいけません。話さなければ良かったな」

 「私に払わさせて下さい。これは、真美恵に乗り換えず、女のプライドを守って下さった私からのお礼です」
 「それは当たり前の事ですから」

 「お願いします」

 
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