コイン★悪い男の純情
 「そこまで言われるのなら、甘えてもいいのでしょうか」
 「どうぞ、そうして下さい。次にお逢いする時にお金はお持ちしますわ」

 「ありがとう」

 芳恵は、純一だけは何としても真美恵に奪われたく無かった。

 真美恵は子供の時から、自分の物を欲しがる癖があった。




 (おもちゃとは違うのよ)




 200万円はその為の保証金。

 純一みたいな男とは、もう二度とめぐり逢う事は無いだろう。

 そんな男をこんなはした金で引き止められるなら、返ってこなくても、芳恵は少しも惜しくは無かった。


 (これで女のプライドが保てるわ)


 芳恵は喜んで200万円を用意するつもりでいた。
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