コイン★悪い男の純情
9話 ペンダント
 次の土曜日、純一は芳恵に電話を入れた。


 「もしもし、芝です」
 「はい、芳恵です。あら、芝さん、先日はいろいろとありがとうございました」

 「明日の日曜日は都合はいかがですか」
 「ええ、大丈夫です」

 「大丈夫ですか。ところで、近くには真美恵さんはいませんか」
 「いないみたいです」

 「どこかで聞いているとも限りませんから、芳恵さんは、はいといいえだけで答えてもらいますか」
 「わかりました」

 「2時で時間はいいですか」
 「はい」

 「場所は前の所で」
 「はい」

 「明日を楽しみにしています」
 「私も楽しみにしております」

 「では、さようなら」
 「失礼します」


 芳恵は心が浮き立った。

 土曜日に電話がかかる予感がしたので、芳恵は200万円を昨日のうちに用意をしていた。



 (芝に思い切り抱き締められたい)



 芳恵は31年の歴史の中で一番ときめき、輝いていた。


 
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