コイン★悪い男の純情
　純一は仕事を終えたので、また母親に会いに行く為に阪急梅田駅に向かっていた。

　電車に乗り、座席に座りながら、純一は今回の仕事を振り返っていた。

　（真美恵の登場は全くの想定外だった。速攻に切り替えて正解だったかな。欲を出せば、危ない所だ）

　純一は短期に事が運び、ほっと胸を撫で下ろしていた。


　（かんなさんに、また逢えるだろうか）


　母親の顔を見るために大阪で仕事をするようになっていたはずなのに、いつしか目的が変わっていた。



　純一は電車のスピードを遅く感じながら、母親のいる実家に向かっていた。


　かんなは仕事を終え、食事を済ませると、子供の勇太と自転車で８時頃にたえの家に来た。


　「吉見さん、また来たよ」

　そう言って、かんなはたえの部屋に勇太を連れて入って来た。

　「あり　が　とう。あり　が　とう」
　「吉見さん、今日は子供の勇太を連れて来たよ。勇太、ご挨拶は」

　「こんばんは」
　「お　利　口　さん　や　な」

　「お　い　く　つ」
　「５才」


　勇太は片手を広げて元気に言った。


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