コイン★悪い男の純情
 
 「かんなさんの家族になれたらいいな」

 かんなはこの言葉の真意を、もう一度この機会に、淳也に確認する覚悟でいた。


 かんなと勇太は、待ち合わせ時間の20分前に、JR大阪駅の中央改札口に着いた。

 「おっちゃん、遅いな。まだかな」
 「もう来るわよ」

 「勇太、絶対にあれを言っちゃ駄目よ」
 「寝小便のおっちゃん?」

 「そうよ。指切りしたからね」
 「絶対に、言わへん」
 「なら、いいわ」

 5分ほどすると、淳也が現れた。

 「あっ、おっちゃんや」

 勇太が淳也に手を振った。

 「早かったですね」
 「この子が急がすもので」

 「そうでしたか」
 「おっちゃん、はよ行こ。はよはよ」

 勇太が淳也の手を引っ張った。

 「わかった。わかった」

 3人は環状線で西九条まで行き、JRゆめ咲線でユニバーサルシティ駅へ。


 ゲートの前で、
「やったあ」
勇太ははしゃいで、飛び回っている。





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