コイン★悪い男の純情
3話 サラブレッド
 絵美は純一が忘れられなかった。純一の事を考えるだけで、頭が麻痺して、他の事は考えられなかった。

 「芝 純一」
 「芝 純一」

 「芝 純一」
 「芝 純一」


 「芝 純一」

 何度、この名前を呟いた事だろう。

 寝ても、食べても、トイレ中も、仕事中も、ボーッとしてる時も・・・絵美は純一の事を考えていた。そして、絵美は一日中、携帯電話を見詰めていた。

 逢いたい。
 顔を見たい。



 抱かれたい。



 声を聞きたい。
 唇を重ねたい。

 筋肉質の体に触れたい。
 結婚をしたい。


 電話は1週間しても掛かってこなかった。

 初恋にうなされる小娘のように、絵美は純一にうなされていた。

 『アゲイン』のホームページを見ていて、絵美はアフターチャンスがある事を思い出した。

 「もしかしたら、電話番号がわかるかもわかれへん」

 絵美は『アゲイン』に電話をして、純一の住所と家の電話番号を聞き出した。
 急いで絵美は純一の家に電話を入れた。
 
 「お掛けになった電話番号は、現在使われていません。もう一度お確かめになって、お掛け直し下さい」


 神戸の住所と電話番号は、引っ越す前の住所と電話番号だった。
 引っ越してからすぐに、純一が『アゲイン』に登録したのだ。


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