コイン★悪い男の純情
21話 証拠写真
 かんなの前の夫の前崎は、携帯電話の液晶画面を見ながら、にんまりと微笑んでいた。


 「しかし、よう、撮れてるなあ」


 次の画面を見ては、
「あの意気地なしめ、吠え面をかかせたるから、それまで待っとけ」
と、前崎はひとりでにたにたと笑っていた。

 「二人が部屋に入る決定的瞬間を撮れんかったのは、ほんま残念やったなあ」

 「でも、これだけ証拠写真があれば大丈夫や」
 「そやけど、相手の女はええ女やな」

 「これでまた、かんなを俺の女にできる。よっしゃあ」
 「かんな、次のお前の休みには行くから、楽しみにしとき」


 「ああ、ぞくぞくするやんけ」


 前崎は独り言をぶつぶつ言っては、ひとりでけたけたと笑っていた。



 純一はパソコンの前に座り、DUCK LISTを開いていた。

 「これまでも随分と世話になったが、これでおさらばだ」

 そう呟くと、純一はDUCK LISTをすべて消滅した。



 (警察沙汰にならずに、足を洗える事が出来るのは、本当にラッキーだった)



 純一は、今までの数々の仕事を振り返っていた。








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