コイン★悪い男の純情

 「ママ、遊びに行ってもええ」
 
 勇太が、かんなに元気良く声を掛けた。

 「すぐに帰って来るのよ」
 
 かんなが、勇太を目で追いながら答えた。

 
 「は~い」


 ギイ~ドン。

 
 勇太がドアを閉めて出て行った。
 

 勇太が出て行くと、シ~ンと部屋の中が静まり返った。

 今日は久しぶりの休日。
 かんなは朝から、朝食の後片付け、掃除、洗濯、と大忙しだった。

 

 かんなか、洗濯物をベランダに干し終わってほっとしていると、チャイムが鳴った。


 
 ピンポ~ン、ピンポ~ン。


 
 誰かなと、かんなが玄関の扉を開けると、前の夫の前崎が、玄関ににやにやした顔をして立っていた。






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