摩天楼Devil
結局、本日はこれで別れた。


帰り道、

「ごめんなさい。掃除、明日します」
と言った。


「いや、明日はいいよ。明後日、来てくれるか?」


明後日は日曜日だ。


「えっと、何時に?」


「1日中いてくれてもいいけど」


ニヤリと篤志さんは笑った。


「て、適当な時間に行きます!」


胸を抑えながら、反論した。


土曜日はいいんだ……

土曜日のお休みは来なくていい、なんて……何か用事があるんだよね。


あまり深くは考えず、“日曜のバイト”を楽しみにした。


が、翌朝のことだった。


「妃奈。叔母さんに、これを届けてくれない?」


と、ママにタッパーと小さな鍋を渡された。

それらはまとめて、風呂敷に包んであった。

ウグイス色の生地に、梅の花が描いてある。

叔母さんは着物で持ってきたんだろう。


「これ、私が持つわけぇ?」


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