摩天楼Devil
「ダメ!!」


気が付けば、ベッドから飛び出して、ミヤちゃんと篤志さんの間に入ってた。


「……ダメ……だもん」


突然、自分にしがみついてきた熱のあるパシリを、篤志さんは抱きとめる。


ああ、友情より恋を選ぶ奴だったんだな、私って。


きっと、嫌われると思った。


ミヤちゃんにも、篤志さんにも。


そして、真悠子。


「何よぉ。妃奈のケチんぼ」

と、ミヤちゃんの拗ねた声。


「いいから、帰りましょ。あんたには、バイト先の先輩がいるじゃない」


と、叱るような真悠子。


「まあね。しょうがない。諦めてかーえろ。妃奈ぁ、それ以上熱出さないでね~」


どうやら、心配したようなことにはならなかったみたい。


真悠子は普段通り、ミヤちゃんは笑顔で出て行った。


「妃奈?」


私はその後も、抱きついてた。


氷枕は落ち、掛布団もだらしなく、ベッドから垂れてる。


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