摩天楼Devil
ただ、その間も遊びには行ってた。


ある日のこと。

いつもみたいに、特別に準備中のときから、中で過ごさせてもらってた。


「おばさんは?」


カウンターにはおじさんしかいなかった。


「ああ、実は――」


ガッシャーン! と奥から何かが落ちる音がした。


「ち、ちょっとヒナちゃん!!」


と、おばさんの声。


――ヒナ?


「ああ、全くドジな子でさぁ」


おじさんはやれやれと首を振る。


何があったのか、予想はついたらしい。


「子どもいたんだ?」


「まぁ、似たようなもんさ。子どもできなかったんだけど、アレが娘みたいなもん。

実は、かみさんが階段でコケて、片方の手首を捻挫したんだ。そしたら、ヒナ……姪が手伝うって言い張ってな」


「ふーん。見返り求めてんじゃない?」


俺は完全に冷めた見方をした。


その、ヒナとかいう、おじさん達の姪に対して。


「そうかもなぁ。ワガママな子だから」


< 209 / 316 >

この作品をシェア

pagetop