摩天楼Devil
――違う、妃奈。そうじゃない……
聞けば、婚約を解消しない、ちゃんと従うことを条件に、篠山駿にレイさんのネイルサロンを聞いたらしい。
「レイさんなら、篤志さんに会う方法知ってるかな、って。教えてもらう自信もなかったけどね」
「……で、俺に会ったわけだ」
ビクン、と妃奈が震えた。
俺は抱きしめる腕に力を込めて言った。
「いますぐ、出でけ。妃奈が動けるようになったら、出てく。だけど、また俺に殺意を抱かせるまえに、さっさと目の前から消えてくれ」
また、不気味な笑い声がして、その足音は去った。
「妃奈。服を直そ……こんなとこ出るぞ」
「あのね、何もなかったの」
「はい?」
「……服、ちょっと脱がされちゃったけど、でも……何も……」
正直、一気に安堵した。が、言わなきゃいけない。
「そんな問題じゃないだろ!」
妃奈はキョトンとしていたが、すぐにまた泣き出す。
「分かってるもん……こわ、怖かったもん……」
「妃奈……もう、大丈夫だ。ちょっとだけ出てくる。すぐに戻るから」
聞けば、婚約を解消しない、ちゃんと従うことを条件に、篠山駿にレイさんのネイルサロンを聞いたらしい。
「レイさんなら、篤志さんに会う方法知ってるかな、って。教えてもらう自信もなかったけどね」
「……で、俺に会ったわけだ」
ビクン、と妃奈が震えた。
俺は抱きしめる腕に力を込めて言った。
「いますぐ、出でけ。妃奈が動けるようになったら、出てく。だけど、また俺に殺意を抱かせるまえに、さっさと目の前から消えてくれ」
また、不気味な笑い声がして、その足音は去った。
「妃奈。服を直そ……こんなとこ出るぞ」
「あのね、何もなかったの」
「はい?」
「……服、ちょっと脱がされちゃったけど、でも……何も……」
正直、一気に安堵した。が、言わなきゃいけない。
「そんな問題じゃないだろ!」
妃奈はキョトンとしていたが、すぐにまた泣き出す。
「分かってるもん……こわ、怖かったもん……」
「妃奈……もう、大丈夫だ。ちょっとだけ出てくる。すぐに戻るから」