摩天楼Devil
――ホテル最寄りの駅で、今度は本当に木島さんを呼んだ。
車に乗ってすぐのこと、キュルルと音が響いた。
「あ、アハハ……も、もう……7時なんだ?ちょっとお腹が……アハハ」
と、笑ってごまかした。
「君はムードもない子だな」
と、隣の篤志さんが呆れ顔で、額を押さえた。
「だ、だって……い、いろいろ、あって……」
言い訳してると、木島さんが提案した。
「六本木に、社長と篤志様のお気に入りのレストランがありましたよね」
と、そのレストランの名前を言った。
それは、予約が1年先まで取れないとも噂される、三〇星レストラン。
「い、いえ、制服だし。結構です!あ、そうだ!ママに連絡しなきゃ!門限とっくに過ぎてる!」
ママの鬼の面相を思い浮かべ、慌てて携帯を取り出した。
「そうだ。ミヤちゃんにアリバイ作ってもらお」
真悠子だと、付き合いが長いからこそ、バレちゃうかも、と思った。
ミヤちゃんなら、クラスメートと分かってるが、
詳しい連絡先までは調べないと分からないくらいなので、よほどのことがない限り、彼女の自宅にかけないだろう。