摩天楼Devil
せっかく会話になりそうだったのに、私はドジを踏む。


「篤志さんでも悩むんですか?」


しまった、と思った時はすでに遅く、彼の眉がピクリと動く。


「あ、いえ。あ、篤志さんも何でもこなしちゃいそうなタイプだと思ったので……」


怒るかなぁ、と覚悟を決めた。


でも、篤志さんは苦笑しただけだった。


「そんな風に見えるのか。なら、よかった。周囲にも舐められずに済むな」


舐められる……?


周囲?


私はそんなことを考えて生活をしたことがない。


そりゃ、学校生活の中で、多少人間関係のトラブルはあったりはする。


そんな時は、確かに負けてたまるか、なんて勝気になることはあるけど、真悠子がいるし、年中ケンカしてるわけじゃないし……
< 87 / 316 >

この作品をシェア

pagetop