摩天楼Devil
そもそも、疲れちゃうよ。


「あの、いいんじゃないんですか?

どういったことで悩まれているのか分からないんですけど、

たまには気を休めるっていうか、弱いとこ見せたって……そうだ、私が愚痴を聞いてあげます」


ぷっ、と篤志さんは吹き出した。


「妃奈がね。解決しそうもないんだけど」


クスクス、と愉快げに笑い声をあげる。


「な、ひどいです!これでも大真面目に……」


笑い続ける彼に向かい、怒っていると、不意に目の前が暗くなる。


――あら?


「あ、篤志さん?」


視界が潰されるように、ギュッと抱きしめられてた。


私は首を横に向け、視界と呼吸を確保した。


「あ、篤志さん!?」

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