摩天楼Devil
校門の前で、真悠子に出会った。


「おはよう、妃奈。ちゃんとお仕事してるぅ?」


現実を、親友だからこそ話せなくて、ママと同じく、お手伝い、と伝えていた。


お駄賃、100円のことも。


「からかうのやめてよね」


「嫌なら、逃げればいいでしょ?おばさんに言ってもらえば?あ、紹介した張本人の、叔父さんに言ってもらえばいいじゃん!辞めます、って」


いやぁ、それがね、と私は頭を掻いた。


脅されたことは言えなかったけど、ワンピとドレスのことは話した。


「……つまり、借金したわけ?」


親友はしらーっとした視線を注いでくる。


「だって、欲しかったんだもん!」


「欲しかった、ってあんた……危ないじゃん……もし、身体で払えって言われたらどうすんの!」


また、母のように心配してくれるが、ここは朝の玄関。


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