摩天楼Devil
ちらちら、と周囲から視線が刺さり、なになに?といった好奇心の声がする。


「ち、ちょっと真悠子!」


さすがの彼女も顔を真っ赤にして、コソコソと二人して、その場を後にした。


まだ、時間に余裕があったので、屋上に寄っていった。


「もう、真悠子はぁ」


「あんたに怒られたくないわ。そもそも、あんだが……!」


と、真悠子が興奮しだしたので、必死になだめる。


「ごめん!人騒がせなことして……でもね、限定品だよッ。しかも、サンプルなんて、当然非売品。貴重だよ!」


彼女は冷静に戻ったみたいだか、またシラケた顔をしてる。


「あんたって子は……」と、額を押さえてた。


「藤堂篤志さん、っていい人なの?」

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