Purewhite Devil
ルシファーはソファーに座ったまま頬杖を付き、私たちを見下し嘲笑うかの様に口を開いた。



『脆く愚かな人間よ――真実が知りたいか』



真実――。


誰も教えてくれなかった事。



『お前がこの人間に好意を抱いていなければ、俺はこの人間と契約など結ぶ事はなかった』



私が好きにならなければ、薫君は死なずにすんだ。


私に起こっているこの不可思議な現実は彼を死に至らしめた。


こんな筈じゃなかった。


ただ人を好きになっただけ。



「私は――どうすればいいの?」



彼の闇に今にも呑み込まれてしまいそうで――だけど、その闇に逆らわず受け入れてしまえば楽になれるような気がした。


こんな沈んだ気持ちの中でも彼の笑みは恐ろしくも美しかった。



『俺と契約を結べ』

「私の命と引き換えに薫君を助けてくれるの?」

『お前の魂など価値もなければ興味もない』

「私の魂がほしいからこんな事をしたんじゃないの?」

『笑わせるな、勘違いも甚だしい』



今の私には、そう冷たく言い放ったルシファーを睨み付ける気力すら沸かなかった。







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