Purewhite Devil
ルシファーは視線を流すように窓の外へと向けた。



『ルシファー様』

『放っておけ』

『ですが――』

『奴は頭が切れる。動きがあるまでじっとしていろ』



何の話?


聞いたところできっと親切に説明などしてくれる筈もないだろうし、話をされても恐らく私には分からない事だろう。


ルシファーはまた私に視線を戻すと、感情の宿っていない様な目で私を捉えた。


ブラックホールのように深く暗い瞳。


だけど凄く魅力的で吸い込まれてしまいそうだ。



『俺が欲しいのはお前の魂ではなく、ガブリエルの核だ』

「がぶ、りえる?かく?」

『お前の体の中には四大天使の内の一人、ガブリエルの核が埋め込まれている。人間で言う魂のようなものだ』



もしかして――あの暗闇の中で話した女性がガブリエル?


胸に手を当てると掌に振動を感じる。


私の体――。


本当にこの中に彼女が?



『契約を交わすのなら、お前の身に何が起こっているのか話してやろう』

「――――薫君を――助けてくれるならどんな契約でも交わす」

『その言葉忘れるな。約束を破れば、地獄のありとあらゆる拷問を味わう事を心しておけ』



ダークブルーの瞳が一瞬赤く染まり、私は息を呑んだ。


もう後戻りはできない。


立ち止まる事も許されないだろう――。





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