Purewhite Devil
薫君に触れている手が震える。


さっきまで温もりを帯びていた薫君の体は冷たくなり始めていた。



「ガブリエルの核が欲しいなら勝手に取ればいいじゃない。どうしてこんな苦しめる様な事をするの?」

『天使は直接的に人間を死に至らしめてはならない。やり方はどうであれ、核が自ら目覚める様に仕向ける必要があると言う事だ』



ちょっと待って――。



「ガブリエルの核と私の魂は別物なんじゃないの?」

『全くの別物だ』

「じゃあ死に至らしめたら駄目ってどういう事!?核が目覚めたら私はどうなるの!?」

『核が目覚めれば次はお前の魂が眠りにつく』

「それって――死ぬって事――?」

『死ぬ訳ではないが死んだも同然の状態だ。ガブリエルの核が完全に目覚めれば、お前などが太刀打ちできるはずがないからな』



眠っている間に外を彷徨いていた時の事が頭を過った。


完全に力を取り戻していない彼女に何日も体を支配されていた。


彼女の力が不完全じゃなかったら、私はあのまま全てを乗っ取られていたかもしれない。






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