Purewhite Devil

契約の刻印

空調等が利いていない閉め切った部屋の中だというのに、少し肌寒い感じがする。


ルシファーの見えない力に当てられているのかもしれない。



『お前の体の中に眠るガブリエルの核はお前が死ねば共に消滅する。故にミカエルはそれをどうにか阻止しようと躍起になっているようだ』

「みかえる――?」



聞きなれない名前ばかりで頭の中が混乱してしまいそうだ。



『ミカエルも四大天使の内の一人だ。今の天界で神の次に力を持つ存在』

「か、神様の次!?」



私はキリスト教徒でも仏教徒でもなく、無宗教だから神様だとか仏様の偉大さはよく分からない。


それでもミカエルが凄い天使だということは何となくだが分かった様な気がする。



『ミカエルは伊集院 望と言う人間を利用しお前に近付いた』

「――え?」



望先輩は――本当の望先輩じゃなかったってこと?



『他に愛する者がいながらお前は奴の思惑にまんまと嵌まった。人間は死を迎え、新たな命を与えられ幾度となく生まれ変わろうと、醜く愚かで滑稽だ』



私は唇を噛み締めた。


血の味が口の中に広がっていく。


ルシファーの言う通りだ。


こんな状況になって私は事の重大さ、そして自分がどれだけ恥ずべき事をしていたかという事に気が付いた。







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