Purewhite Devil
ガブリエルの視線は直ぐにそらされた。


気付いてない?


そんな馬鹿なーー。


今確かに目が合ったよね?



「ガブリエル?」



名前を呼んでも彼女はこっちを見ようとしない。


ガブリエルと一緒にいる人も気にしてないみたいだ。


だんだん怒りが込み上げてきて、私はガブリエルへ近付いた。



「なんで無視するの!?」



ガブリエルの斜め前に立ち、大きな声を出しても知らないフリをするガブリエル。


私はガブリエルの肩に手をのばした。


えっ!?


体は前に傾き、こけそうになったが、なんとか足を踏ん張り転けずにすんだ。



「ど、いう事?」



私の手はガブリエルの体をすり抜けてしまった。


なんで触れられないの?



「ガブリエル?」



もう一度名前を呼ぶが、やはり返事はない。


もしかして私が見えてない?


声も聞こえてないの?


もう、何が起こってるのかわかんないよーー。



「今日はゆっくりできるの?」

『あぁ、お前を愛する時間なら十分ある』



ガブリエルは頬を赤く染め、恥ずかしそうに微笑んだ。


その顔は見惚れてしまう程美しかった。





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