Purewhite Devil
足を進めていくにつれ、だんだんと声も大きくなってきた。


女の人?


でもこの声ーー。


まさかーーそんなはずないーーッッ!!


そう思いながらも嫌になるくらい心臓は騒いでいる。


気付けば足も小走りになっていた。


声のする部屋を恐る恐る覗くと、そこはくる時に通った噴水のある広場だった。



「う、そーー」



噴水の石段に座ったまま、綺麗な笑顔で話をしているガブリエルの姿があった。


もう一人は背中しか見えない。


失敗したって事?


薫君は助けられないの?


待ってーーガブリエルが生き返ったのに、なんで私は今ここに存在してるの?


相手の頬に触れ、柔らかく笑うガブリエルはとても幸せそうだった。


私は悲しそうなガブリエルしかしらない。


それも声だけ。


ちゃんと会って話した事は一度もない。


貴女は幸せかもしれない。


だけど、私たちはどうなるの?


どうしたらいいの?



「ねぇ、ガブリエルーー」



涙がこぼれ落ちると同時に声も一緒に口からこぼれ落ちていた。


そしてガブリエルの透き通る様な水色の瞳と視線がぶつかった。






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