Purewhite Devil
薄くて色気を纏うルシファーの唇が動いた。



『美しいあいつに地獄の様に陰湿で日の当たらぬ場所は似合わない』

「それでも、ガブリエルは良かったんだよーー貴方の、傍がーー」

『神のやり方では天界は崩壊してしまうと思った。そんな不安定な世界にあいつを居させたくなかった。それに、あいつの笑顔を守りたかった。だが、守る筈があいつの笑顔を奪ったのは俺だった』



私の頬は気付けば涙で濡れていた。


お互い愛し合ってるのに、想いは重ならない。


そんなの苦しいよ。



『何故お前が泣く?』

「貴方が必死に自分の心を抑えつけてるからーー」

『本当に、人間とは可笑しな生き物だ』



あっーー笑った。


ルシファーの悪魔とは思えない程の美しい笑みに目を奪われた。


光に当たり、艶やかな黒髪が風に揺れ、私の頬を掠める。


色んな感情が湧き上がり、涙が溢れ次々と零れ落ちた。



「愛してるからッ、ガブリエルを殺すのッッ?」

『あいつの行き場のない心を俺が楽にしてやりたい』



なんて重くて悲しい愛情なんだろう。


純粋な愛ーー。


離れていても、忌み嫌う仲になっても二人は求め合ってるのにッッ二人の糸は結ばれる事はないんだーーッッ。





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