Purewhite Devil
薫君の足の間にすっぽりとおさまり、薫君の肩に手を置いている須藤さん。


須藤さんが笑ってるところ初めて見た――。


二人、付き合ってるのかな。


別に私と薫君は付き合ってるわけじゃない。


私も聞かなかったし――と言うか、勝手に彼女いないって思い込んでただけだし――。


でも普通勘違いしちゃうよ。


いつも女子から逃げてる薫君が私とはお昼一緒に過ごしてくれて、笑ってくれて――少しは特別に思ってくれてるんじゃないかってッッ。


何考えてたんだろうッッ自惚れもいいとこだ。


胸が苦しい――潰れちゃいそうだよ――。



「あ――ッッ」



今一瞬だけど目が合った。


でも薫君の目は背筋が凍るほど冷たくて、凄く怖かった。


邪魔――って事なのかな――。


それ以上その場に居たくなくて、私はぼやけた視界の中喉が痛くなるほど息を乱しながら走った。


自分でも何処に向かって走ってるのか分からなかった。


とにかく今見たものを一刻も早く忘れたかった。






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