わたしの姫君
(二、三、……十、十三……。さすがにちょっと多いわね)
気配のもとを辿って目を凝らし、光る獣の目を数えて舌打ちをした。想像していたよりも数が多いのだ。どうやって料理しようか。一頭ずつ倒していたらきりがない。それに、すでに二十は超えているだろう。一気に囲まれてしまえば、どうしても死角ができる。そういう状況になったとき、ひとりというのは不利だ。いくら腕に自信があるとはいっても、これは別問題である。
そんなことを考えていると、最初の一頭がルシアの喉元をめがけて飛びかかってきた。つい集団の気配に気を取られていて、すっかり忘れていたのだ。
気づいて振り向いたときには、すでに獣の鋭い爪があと数秒でルシアの喉を突き破る――はずだった。
「え……」
思わずルシアは呟いた。
目の前に、獣と自分とを遮る魔法陣の光が現れ、暗い闇を仄かに照らした。
見えない光の壁にぶつかった獣は、一瞬甲高い悲鳴を上げたが、魔法陣に熱波が含まれていたのだろう。ぶつかったところから、赤黒い体液を漏らしながら獣は呻き声を上げている。
(誰?)
辺りの気配を探ったが、獣以外の気配はない。それにあの魔法陣。呪文らしきものは一切聞こえなかった。人間が放つ魔術は、声の届く範囲でしか効果が現れないと聞いていたのに。これではまるで――。
「さすがのルシア様でもこの数ではお困りのようですね」