モノクロ*メランコリック


シロはたぶん、完璧なまっしろ王子なんかじゃなくて。


『私にだけ』、まっくろなところを見せてくる。


だって、そうでしょう?

今のだって、そうでしょう?


『嫉妬』っていう名前の、感情だったんでしょう?


けれどそれを、シロは隠そうとする。

まるでその感情を、持っちゃいけないものみたいに。

私の気持ちなんて、とっくの昔に気づいているはずなのに。



『真白は、隠すのが上手いもの。いわゆる“王子様スマイル”ってやつで、あんたの前では絶対に見せてこなかったわ』


…もしこれも、彼が今まで私に隠していた感情だったとしたら。

そう思うと、私は胸の底が灼けるような感覚がした。



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