甘くて切なくて、愛おしくて
店内に切ない曲が流がれ出した。美香子がイジワルね、とこれもまた小さな声で呟く。5年くらい前に流行ったR&Bの失恋の曲。確かこの曲で何かの賞をとった気がするけれど、詳しくは思い出せない。曲の内容は恋人が亡くなった、っていう寂しくて、辛い曲だったと思う。
美香子が少し困ったように笑いながら話を続けた。
「この曲と同じ。付き合ってた彼がね、事故で死んだの」
え..
「同じ歳、だったの?」
なるべく慎重に言葉を選んで質問するあたしに、美香子は1から教えてくれた。
「彼はあたしよりも1つ上の先輩で、その当時アルバイトしてたあたしの店に毎日通ってた人だった。所謂常連さんっていうやつ?でもねあたしのバイト先、ケーキ屋さんなのよ、それなのに毎日ショートケーキを買って行く彼を不思議に思っていたわ」
嬉しそうに、幸せそうに話す美香子。
きっととても大切で、それは今でも変わらないんだという事を想わせる。
「それでね、ある日、バイト中にいきなり一目惚れしました、付き合って下さいって告白されたの」