甘くて切なくて、愛おしくて
「最初はねバカみたいって思った。あたし自身、一目惚れなんてあり得ないって思ってた所もあったしね。だから最初は信じられなかった」
「じゃあ断ったの?」
「当たり前でしょ、ふふ、でもね、おかしいのよ、その人。それからも毎日ケーキを買って行って。そして最後に必ず“好きです”って言って帰って行ったの」
「いつから..好きになったの?」
「彼が来ない日が来たの。しかも1日だけじゃない、次の日も、その次の日も。また次の日も。もう嫌われてしまったんだって思ったわ。諦めたんだって。その時に気が付いたの。あたしもいつの間にか気になっていたんだって事をね」
遠い目をして話す友人の頭の中にはきっとその時の情景が浮かんでいるんだろう。
「それで?その人、来たの?」
「来たわ。何でも彼ったら風邪をひいたらしくて、その上乳性品のアレルギーでね」
「だってケーキ..ってもしかして..」
「そう!バカでしょ?最初は妹にあげてたみたいなんだけど。ある時その妹が泊まりでいないって聞いて仕方なく食べたらしいの」