甘くて切なくて、愛おしくて


「いや、少し残るかもしれねぇな」


そう答えるとふわぁっと笑顔になって俺に近付いてくる。何やら嫌な予感がする..


「それ、あいつにも分けてきてもいいっ!?」


..やっぱり..


「いやでももしかしたら晩御飯もう食ったかもしれねぇし」


「いいじゃん、それだったら明日の朝ご飯に食べてもらおうよ」


「..何でそんなにあいつに構うんだよ、お前は」



今日一日ずっと考えた。そして結論を自分の中でも出したつもりなのに。どうしてこんなにもみんなしてあいつの事を言うんだ?



「いけない?父さんも好きでしょ?あいつの事?」


好きかって..?そんなに平気に言えるのか?


「好き、なわけねぇだろうが」


「父さん?」


「約束したんだ。お母さんと。絶対にお母さん以外を好きにならないって。だから俺は..父さんは..」
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