甘くて切なくて、愛おしくて
きっといつの日か、沢城さんの奥さんを思う気持ちで、
寂しい思いをする日が来るかもしれない。
それでも決めたの。
あたしはこの人と、歩いて行きたいって。
そう思ったその時だった。
何処からか“ありがとう”という声が聞こえて空を見上げる。
ひょっとしたら、と思うと優しい春の風が頬を優しく撫でた。
「蝶花?」
「蝶花?」
「蝶花さん?」
「加賀見さん?」
振り返るとみんなが不思議そうにあたしの顔を見る。
「何でもないです」
笑顔でみんなの元へと駆け寄った。