甘くて切なくて、愛おしくて
考え込んでいたあたしを気にしたのか沢城さんが声をかける。
「あ、いえ。その、頑張ってくださいね」
「何が?」
「何がって...その子育て?」
「何で?」
「何でって..一人親だと色々大変だと思うし」
「お前みたいなチカンされ放題女に言われたくねぇな」
「失礼な!あたしだって好きで痴漢されたわけではありませんっ!」
きっぱりはっきり言いきると、彼はクスッと小さく笑った。
初めて見る笑顔。
ユウキ君に向ける笑顔とは少し違うけれど。
でも、ぶすっとしてるよりよっぽどいい。
「ふふ」
今度はあたしが笑うと、すぐに笑顔が消えた。
「何がおかしいんだよ」