音コイ
「どうぞー。」


2人分のコーヒーを入れて
それぞれの前に置くと
私は少し下がってほかの仕事をする。



瀬能さんの仕事に関して
質問はしない約束だし
小説家さんの仕事の話を
近くで聞いておくのも良くないよね。


そう思ってアイロンをかけたりするんだけど
どうしても瀬納さんの
あのイヤホンが気になる。


仕事の話のあいだも外さないわけ?


だんだんイライラが溜まってくるんだけれど。


とはいえ怒鳴るわけにはいかないし
ここは抑えるしかないのよね。


「瀬納。
ここは――――――」

「・・・」




...聞くつもりはないの。


聞くつもりはないんだけど
どうしてもあの無言が
気に触るんだけど。


広瀬さんはあれに耐えられるなんて
どれだけ心が広いの???


だめ。


もう耐えられない。


気が短いのはわかってるんだけど
ほんとにごめんなさい―――――















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