音コイ
バァンッ


「あんた礼儀も知らないの!?」



もう限界。



そう思ったときには
体はすでに動いていて。



頭が落ち着く頃には
私に殴られて怒鳴られて
唖然と転がってる瀬納さんと
泣きそうな顔で
私たちを交互に見る広瀬さんがいた。



...あーあ。


やっちゃったよ私...



せっかく仕事につけたのに
これじゃぁクビじゃん。


しかも他で家政婦続けるのも
これからはしんどくなるよね。

て言うか人としても酷いことしてるし!


あぁーどうしよう。


赤くなった頬を押さえ
こっちに歩いてくる瀬納さんを見て
私はそう嘆いていたのに

「...お前の音、イイ。」


「...へ?」


今瀬納さんの口から
なにかおかしな言葉が聞こえなかった?




「もっとお前の音、聞きたい」




「ちょっ!!」




瀬納さんがもう一度発した
意味不明な言葉を理解する前に
私はなぜか
彼の腕に抱き締められていた。











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