新撰組蝶乱
周りからはすでに刃と刃がぶつかり合う音がして、隊士達が男とやりあっている様子がわかる。
土方は隊士のうちの何人かを、頓所外に応援の志士がいないか確かめに行かせたあと。
残りの隊士達に指示を出す為にふり返り…
言葉を失った。
そこに、男は立っていた。
ちゃんと立っていた。
いや、正確に言うと、男しか立っていなかったのだ。
「ばかな…何者だてめェは…っ!」
「だからさっきから言うてるじゃろが。」
眉根をよせた土方の足元に、他の隊士達と同じように何かが転がった。