Quiet man
「・・・・・・ウン。」



ナギは蚊の鳴く様な返事をし、

自分の部屋に入ってしまった。



( 知るか )



カウンターキッチンのイスに

座り、

ロックのジンをぐいと呷る。


奴の事は警察に任せりゃいい。


ただ、それだけじゃ、

確かに気は済まなかったんだ。


若い頃なら

女のトラブルも多々あったが

ケツは自分で拭いていた。


今度みたいな事は

確かに俺も初めてで


警察で待ってるだけなんて、

結構ストレスになったんだ。


それに加えて

ヤツアタリする不甲斐ない

自分をお前に見せちまう

俺自身に対しての苛立ちか。



こんな事・・、

解ってくれとも云えやしない。



ガチャ。




彼女の部屋のドアが開いた

次の瞬間、「ブッ」と

酒を噴き零した。


手の甲で酒を拭き、

ポカンともなる。来た時と同じ

デカイ鞄を持ってんだから。



「じゃ・・残ったの、また今度

取り来るから置いといて。

短いシェアやったけど、

すっごく楽しかった、有難う。」




え・・・・!? それって?




なんで鍵置いて行くんだ

・・ナギ?



バタン。



そしてたった今

閉まったドアの向こうでは。



「○○の、

セントラル・アベニュー前に一台」



・・・・・・・・・タクシー?





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