Quiet man
「怪我はしなかった?」

「_______ ええ、はい。」


「良かった・・、

もう大丈夫、大丈夫だから。」



助けてくれた、甘いマスクの男。

あたしの顔を覗き込み、

肩を抱く。

神足さんとは違う匂い。


でも、なぜか・・ほっとした。


犯人もその場で御用となり、

あたしたちはそこで軽い

調書だけ取られた。


手を少し切った男性は

救急車を断って帰ろうとした。

応急処置だけでも・・と、

あたしが引き止めたのだ。



「いやー、ゴメンね。

返って面倒かけてさ。」


「そんなん、こっちこそ・・

助けて貰ったのに・・。」



彼は同じ階に住むホストさん。

見た事もない人だったが

たまたま今夜は、

体調不良で帰って来たらしい。



「でもさあ、

顔じゃなくて良かったね。」


「ドコでもエエ事ないよ・・。」



なぜかハルミさんも部屋に居る。

そりゃ

居てくれた方がいいんやけど。



「そう云えば彼は?」

「まだ神戸におるねん。」

「え、じゃ1人? 大丈夫なの?」

「明日には帰って来るから。」


「そ・・、何かあったらウチに

おいでね。あ、名刺渡しとく。」



「「・・営業入ってるし。」」



でへへと笑ってる。

彼らも抜け目がない。

こんな事件も武勇伝にするし。


『沢村一都』<サワムラ・イット>

名刺の彼の名前。本名やねんて。


けど、ほんまにこれぐらいの怪我

で済んで良かった。


あたしも気をつけななぁ。

は。もしかして、

ニュースになったりするの?

これって・・。




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