Quiet man
( なんでこんなトコに・・? )



俺の吸っているのと違う煙草が

リビングの隅っこに落ちていて。



( この匂いだ )



直ぐに解る奴のトワレの残り香。



「__ああ、ハルミさんと一緒に

来てたよ? 皆でお茶しようって」




( 本当にそれだけ・・?)



"アイツを部屋に入れるな"



・・そう云えば

彼女はどんな顔をするだろう?


多分、解ってくれた筈だ。

なのに俺は云えなかったんだ。




そして

ナギがあの店で最後の勤めを

する、前の晩だった。

彼女を最後に抱いたのは・・。



「ア、やァッ・・ァッ・・!」



彼女は掠れた声をあげ

ベッドでの激しい行為の末に、

中でイこうとする俺を察したか

慌てて力ない抵抗を見せるのだ。


それは時々ある事だった。


一秒もない、その一瞬だけ

染み付いた恐怖心が見せる、

血の気の引いた様な顔色。


それを見て俺は異様な興奮を

憶えてしまう。


____ ゾクリとして


胸板を押し返そうとする両手を

手首ごとベットに押さえ付けた。


捩らせようとする華奢な体を

力で捻じ伏せるかに

奥の奥まで突き上げ続け

うわ言の様な拒否の言葉を

聴きながら・・、

俺はまたナギの中へ

痛みを感じさせるであろう

近さで熱いものをブチ撒けてた。



「あっ、あ・・・、」



ドクドク波打つのと合わさる様

握ったままの手首が揺れている。


目尻に滲む涙に唇を落とし

意識を手放した彼女を

そのまま・・俺は抱いて眠った。


ナギは・・

やっぱり解っちゃいなかった。


俺がどれ程、

お前を

愛し過ぎてるかって事を・・。




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