Quiet man
病院に着き診察後間もなく

陣痛部屋へ。


ギリギリと歯を食いしばる彼女

の手を握りしめ、肩を抱いた体

が物凄く熱を帯びていた。


「もう少し、がんばって下さい」


助産婦さんが呼吸の指導をし、

母と一緒に呼吸法を実践した。


子宮口が8cm開いてそこから

全開大になる迄が大変だった。

いきみ逃しを手伝ってやりつつ

俺は壁の時計を見る。


1時間が経とうとしていた。

助産婦さんがまた来て覗き込む。



「・・分娩室に移りましょう、

ご主人も準備をなさって下さい」



彼女が呟いた、"やっと・・?"


子宮口が全開大になったらしい。


_______ いよいよだ。



分娩台にゆっくり乗り、手を握

った俺をチラと苦しげに笑う。



「さー、がんばりましょう。」



ドクターはニコやかに云い、

緊張で上がっていた

俺の肩を一瞬だけ下げさせた。



「口を少し開けてぇ・・はい、

ゆっくり長~く、息を吐いて。」



ドクターが云うと俺の反対側に

いた助産婦さんが"ふぅーー"と

見本を見せてやってくれている。



「っん・・・ふぅーーーーー」



ナギの目が勝気な光を取り戻す。

胸が弾むくらい荒かった呼吸を

また次第に落ち着かせていった。


ずっと指示通り繰り返している

と、約10分~15分経った時。



「よーし、見えた。うーん。」



何故かドクターのテンションが

急に下がったのだ。


オイ、不安になるだろーがっ!!

早く何とか言えっての!

その次だった・・!


「いたーーーーーーーっ!」


彼女がギュウと俺の手をキツく

握り返し、悲鳴をあげたのだ。







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